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Soly japanese only.
書き物の部屋のイメージ オリジナルと二次創作を揃えております。拙い文章ですがよろしく(^_^)!
no-imageのバナー 探偵と迷い


     4


「悦子!」
「あ、勝彦ぉ。
 それにしても、良くやるわよね。新学期当日まで、徹夜なんて。
 はい、預かってた着替えよ」
 九月一七日、月曜日の朝。
 徹夜明けの勝彦と、今し方入ってきた電車から降りた悦子。
「お、サンキュー。
 そう怒るなって、ちゃんと急行止まる駅で待ち合わせしてやったじゃないか」
「何よ。その言い草。
 もう着替え預かってあげないわよ」
 言葉に詰まる勝彦。
 そんな遣り取りをしていると、急行が滑り込んでくる。
 その日、大学の講義を終えると、勝彦は、悦子に会うこともなく友人達と飲み会に行く。
 火曜日。
 勝彦は、自宅と大学を往復しただけで終わる。
 水曜日。
 早朝。
 町田市小川のとある住宅街。
 その一角に、男が一人佇んでいる。
 その背後から、ファーストフードの袋を下げた、ザンバラな頭髪、少々垂れ目に、少々団子っ鼻の男が一人近付いていた。
 背後から一定の距離を超える。
「えっ?」
 声を上げる男。
 それもその筈、前の視界が突然開かれたのである。
 愕然として立ちすくむが……。
「しょ、所長……。俺です。梅田ですよ」
 この焦っている男は、梅田公一。
 第一印象は、何処にでもいそうな男である。
 少々太り気味な体格、ではあるが……。
「何だ、梅田か……」
「あ〜、も〜。いきなり首締めて、どうする気ですか」
 誠は、笑みを浮かべつつ、公一の首から腕を外す。
 いきなり首を絞められたのでは、堪ったものではない。
 呼吸を荒げ、首をさする公一。
「癖だ。気にするな。
 それから、いつも言っているだろう、早めに声を掛けろと。いい加減慣れろ」
「確かに、いつもそうではあるんですけど、早めと言われても、タイミングが……。
 それにですね、日常的に無いことなんで、中々無理ですって。
 あ、そうそう、朝食持ってきましたよ」
 誠は、渡された包みを見て、何故、いつもハンバーガーなのかと訝しむ。
 そうは言っても、せっかくの差し入れである、誠は、ハンバーガーを食べる。
「今日から頼んだぞ」
「はい」
 この日勝彦は、大学の講義が終わるとゲームセンターで過ごして終わった。
 木曜日。
 講義がないため、勝彦は、地元のパチンコ、町田のゲームセンターなどをぶらついた。
 金曜日。
 勝彦は、本厚木駅周辺で、友人達と飲み会を終えて駅にいた。
「じゃぁなぁ」
「またなぁ」
 勝彦を含めた数人の町田方面組は、酔いも手伝ってか、陽気に騒ぎながら暫し電車に揺られる。
「よっしゃぁ! 二次会だぁ」
 時刻は、二一:〇〇を回ったところである。
 まだ終電には時間があるとは言え、若者は元気である。
 勝彦達は、町田駅近くの居酒屋へと入って行く。
「あっ、そうだ。お前等に良いもの見せてやる」
 席に落ち着いた勝彦は、スポーツバッグから徐に何かを取り出す。
「おぉ! すげぇ〜」
「何々? ……モデルガン?」
「ま、まぁな……」
 などと盛り上がりを見せる。
 しかし、居酒屋である。
 周囲の客も、その盛り上がりに注視する者はいない。
 この日。この二次会を終えると、勝彦は自宅へと帰っていった。

     *

 町田駅に程近い場所にある、ビデオレンタル&セルショップ、タルトセル。
 レンタルだけではなく、小売りもしている店である。
 何処にでもある、極普通の店構えであり店内である。
 そこに、誠の姿があった。
──毎日来てはいるが、今のところ客層にこれといった輩はいないな。
──しかし、土曜日の夕方だからなのか? 結構、客がいるものだな。
 勝彦の素行調査を公一に任せた後、誠は、元バイト先の調査に乗り出していた。
 レンタル会員になって、水曜日から通い詰めていた。
 これまでに分かった事。
 店長を除いて、社員はおらず、アルバイトだけでまかなっている事。
 但し、日に二度ほど現れる配送は、社員のようである。
 この配送員が、どこかの組員だった人物、と言っても通ってしまう人相、風体である。
 更に、この店は東京、神奈川でチェーン店の展開をしており、その本店である事。
 只……。
──経営が複数の別会社にあるのには驚いた。通常は、母体となる会社を持つのだが。
 この親会社群が、またややこしく、複雑に絡み合っていた。
 親会社群の中に、合弁企業が含まれていたり、親会社群それぞれの親会社もまた、それぞれに複数存在していたからである。
──まったく。気が遠くなる。たぐればたぐるほど数が増え、複雑化している。
──まさしく、大元に辿り着かせたく無い、とでも言いたげな構成だ、骨を折らせる。
 そう考えながらも一応は客である、陳列棚から一つ取り出し、レジへと向かう。
縦書きで執筆しているため、漢数字を使用しておりますことご理解ください。
下記、名称をクリックすると詳細を展開します。
おがわ かつひこ
小川 勝彦
西暦1980年 9月10日生まれ。身長/体重:178㎝/60㎏
学年:社会学部 3回生

 小川勝也家長男として生まれる。
 本質的には優しいのだが、その反発として、ムラが多く、喜怒哀楽を激しく表現しすぎる。その為、周りの人を困らせることが多々ある。
 嫌いなものは肉類。好物は、焼き魚。
ささき えつこ
佐々木 悦子
西暦1980年 8月 8日生まれ。身長/体重:160㎝/45㎏/スリーサイズは未定
学年:社会学部 3回生

 佐々木玲児家次女として生まれる。
 気性の激しい、とまではいかない荒さがある反面、優しさもある。また、いわるゆ面倒見の良いところを持っている。
 嫌いなものは焼き魚関係、だが、好物は、刺身。
ふるや まこと
古屋 誠
西暦1966年 9月 6日生まれ。身長/体重:175㎝/65㎏
職業:私立探偵。古屋探偵事務所所長兼探偵長

 古屋本家次男として生まれる。
 それ故か、何事にもマイペースでこなしていく、喜怒哀楽がないわけではないが、怒りについては本来有する性格のためか、激怒したことは今までにない。
 食べ物で好き嫌いはないが、特に好物なのは、カリカリベーコンの目玉焼きである。
うめだ こういち
梅田 公一
西暦1971年 7月 1日生まれ。身長/体重:170㎝/66㎏
職業:私立探偵。古屋探偵事務所探偵

 梅田家次男として生まれる。
 ありがちな次男の性格である、自分勝手さが時折顔をのぞかせる。が、新米の頃に、自分勝手な性格が前面に出たために、仕事は失敗、当時の探偵長を始め所長にまで迷惑をかけた経緯があり、その性格が出ていないか自己分析した上で行動できるように訓練をし、今では、殆どのところを制御している。
 好き嫌いはないものの、やはり一番の好物は、母の手料理である。が、難点は、ビール好きであること、ビールであれば底なしのように飲む。
ビデオレンタル&セル
「タルトセル」
 所在地は、町田駅商店街の外れに位置している。
 店構えとしては、ごく普通のビデオショップと何ら変わるところはない。が、その実は、暴力団の資金源の一つとして位置づけられている。
 全店舗へのビデオ配送、在庫、回収なども兼ねており、ショップとしての機能は低めとなっている。
 また、本格的な本部は別に存在するため、ここには、それらしき人物の出入りは皆無である。
 当然、店長としても、一般人見える人物が登用されることは言うまでもない。
小川家
 所在地は、町田市小川。
 閑静な住宅街の一角にあり、父:小川勝也、母:照美、長男:勝彦、長女:美也の4人家族である。
町田市
 東京都の多摩南部に位置付けられている南にせり出した一体で、神奈川県に隣接した市。
 作品年代においても、駅周辺はかなり発展している。
 しかし、駅を離れると田園風景が広がっている。
町田駅
 町田市木曽町にある。私鉄とJRの駅。
 作品年代において、駅周辺はかなり発展している。



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