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オリジナルと二次創作を揃えております。拙い文章ですがよろしく(^_^)!
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探偵と迷い |
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1
「勝彦」
「なんだ?」
気の抜けた返事をする男。小川勝彦。
手櫛ででも整えたのであろう少々茶の入った短めの頭髪。
目が細めで、唇が薄い。
細面であるためか、バランスが悪いことはない。
顔だけにと止まらず、体格も細いのである。
一七八センチあるため、更にひょろっとした印象を与えている。
「何かあったの?」
勝彦の前を歩きながら、振り返って見上げる女性。
肩より長い黒髪がふわっと揺れ、クリッとした瞳に、見据えられる勝彦。
「な、何って? 何も……ない」
その仕草に、少々どきりとする勝彦。
それが表情に出たのか……。
「ん?
どうしたの? 勝彦、顔が赤くない?」
「な、何だよ。
そんな訳あるかよ」
「ふ?ん」
そっぽを向いて、ごまかす勝彦を余所に、笑みがこぼれている女性。
何とも気の抜けたような会話である。
いやいや、初々しい恋人同士の会話である。
週末。
七月二一日、土曜日の昼下がり。
勝彦は、所謂デートの真っ最中である。
和やかな雰囲気の中、ふと立ち止まる勝彦。
「どうしたの?」
「……腹減った。
悦子、何か喰おう……」
「ちょっとぉ、待ってよ勝彦。
歩きにくいん……、待ってってばぁ」
すたすたと方向を変えて歩き出す勝彦。
その足取りに、少々遅れがちになり、ついて行くのがやっとな悦子と呼ばれた女性。
佐々木悦子。
ぽっちゃり目の体型ではあるが、女性特有の体型はしている。
勝彦より顔一つ分は低い身長である。
遅れがちな悦子に気遣いせず、勝彦は、足早に歩を進める。
悦子が少々息切れした頃、小田急町田駅に程近いファーストフード店に入る。
「ちょ、……ちょっと。勝彦?
あ、……ちょっと待ってよ」
購入を済ませた勝彦は、窓際の席に着く。
「もう。置いていくなんて酷いじゃない」
「あ? そうだったか? 腹減ってたからな」
「もう」
悦子が、何を言っても、勝彦は胃袋を満足させるのに忙しいようで、話にのってこない。
暫し、会話の休憩。
勝彦が満足した頃……。
「勝彦。昨日の講義、理解できた?」
「ん?
あ、まぁ、それなりに……」
「もう。今日の勝彦は変だよ?」
「そうか?」
話しの合間に、フライドポテトを頬張る悦子。
のってこない勝彦に対して、怒っている様子はない。
ノリが悪いのは、いつものことなのかも知れない。
「そう言えば、勝彦」
「ん?」
「バイトの方はどう?」
「……何も、面白いことはない……」
「そう……何だ」
「あっ、そうそうバイトって言えば、この間、高校生のバイトの子が……」
不意に添えられた勝彦の右手の感触に、言葉を切る悦子。
しかし、その表情が曇り始め……。
「勝彦。……痛いよ」
「……あ、わりぃ」
握っている、と言うよりは、掴んでいると言った方が良いほど無造作であった。
掴んでいた手を離し、引っ込める勝彦。
何かおかしいと感じる悦子。
何が、と問われると、分かる事、思い当たることはないのだが……。
「……あぁそうだ、面白いものがあって、大学のみんなで見た。そしたら、これが大受けだった」
「面白いものって?」
「……ん、面白いもん、かな?
あぁ、悦子には詰まらないもんかもな」
いつも通りの勝彦ではあるのだが、どことなく、普段と違っているように感じる悦子。
大学では、ほぼ一緒にいるのだが、これと言ったことはないように感じていた。
バイトで何かあったのか。
何れにしても、些細な変化、と言えるのかも知れない。
何れにしろ、悦子は、とりあえず勝彦の機嫌がそこそこ良くなったことで、由とすることにした。
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縦書きで執筆しているため、漢数字を使用しておりますことご理解ください。
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下記、名称をクリックすると詳細を展開します。
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おがわ かつひこ |
小川 勝彦
西暦1980年 9月10日生まれ。身長/体重:178㎝/60㎏
学年:社会学部 3回生
小川勝也家長男として生まれる。
本質的には優しいのだが、その反発として、ムラが多く、喜怒哀楽を激しく表現しすぎる。その為、周りの人を困らせることが多々ある。
嫌いなものは肉類。好物は、焼き魚。
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ささき えつこ |
佐々木 悦子
西暦1980年 8月 8日生まれ。身長/体重:160㎝/45㎏/スリーサイズは未定
学年:社会学部 3回生
佐々木玲児家次女として生まれる。
気性の激しい、とまではいかない荒さがある反面、優しさもある。また、いわるゆ面倒見の良いところを持っている。
嫌いなものは焼き魚関係、だが、好物は、刺身。
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町田市
東京都の多摩南部に位置付けられている南にせり出した一体で、神奈川県に隣接した市。
作品年代においても、駅周辺はかなり発展している。
しかし、駅を離れると田園風景が広がっている。
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町田駅
町田市木曽町にある。私鉄とJRの駅。
作品年代において、駅周辺はかなり発展している。
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