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オリジナルと二次創作を揃えております。拙い文章ですがよろしく(^_^)！
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Spellbound |
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６
「只今。建設業界中堅の海道組に、警察が礼状を持って入っていきました」
”海道組に警察の手”と打たれた午後のニュース。
ここは喫茶キルッズ。
「おぉ、来た、来た」
「はぁ……」
「まぁ、待て」
店内にあるテレビに釘付けになっているのは、真一。
カウンターの中で片付けをしながら呆れているのは、隆彦。
「全く、何度見れば、気が済むのかなぁ。
……それはそうと隆彦。
冴子さんの納骨って今日だったよね、私達は参列しなくて良かったの？」
「内々だからね、後日行った方が良いでしょ」
隆彦の答えを余所に、テレビではクライマックスを迎えていた。
「あ、会長です。会長が出て参りました。
え〜、手元の時計で、午前一〇：一〇。
四月一九日、午前一〇：一〇。会長が逮捕されました」
昨日のお昼から、テレビでは、海道組会長、社長、並びに子会社のSeaLoad運輸社長の逮捕が報道され続けている。
「やったな、と言う実感が湧くね」
「真一」
「分かってる。
ま、最後の最後、って言うか、冴子さんに少しは恩返しできたかな、とは思わないか？」
「それなら、その行動しながら考える、と言うのを直した方が、よっぽど喜ぶと思うよ」
「おい、喧嘩売る気か？」
「はいはい、今日は佳子いないんだから、暴れないでねぇ」
諫めているのか、喧嘩を売っているのか、微妙な言い回しの千鶴に、真一がつっかろうとすると……。
チリン。
＊
都心から少し離れたところにある厳かな場所。
その一角から、お経が聞こえてくる。
小暮家の菩提があるお寺。
「……平成三年三月五日命日。
……俗名、小暮冴子……」
そのお経を聞きながら……。
──姉さん。約束を守れなかった。絶対に許せなかったんだ。ごめん。
もう一つ、隆彦達と再会したことも報告していた。
納骨の後。
「これで、皆さん逝ってしまわれましたな」
納骨を執り行った住職が、寂しさを滲ませながら呟く。
「はい」
「しかし、今日の正史さんを見ていますとな、親御さんを亡くされたときに比べ、強くおなりのようだ」
「そうですか？」
「はい」
住職は、その一言に全てを込めるように返す。
正史にも伝わってくるかのようであった。
「では、きっと姉が強くしてくれたのだと思います」
「そうですか。お姉さんは強く優しい方でしたからな。
それとな、今の正史さんは、何かに導かれているように感じるのですよ」
「え？」
いろんな人を見ているからであろうか、あるいは、正史に何かを感じてのことか、はたまたその周囲に、何かを感じ取ったのか。
「ははは。
何に、と問われても困ってしまいますがな。
漠然と、そう感じるだけですよ」
正史は、この時に分かった。
冴子の死、隆彦達との再会の意味が。
そして、通夜の席での声の主も……。
只、そのままを受け入れるつもりはなかった。
そんなことを想いながら、視線を表へと向ける。
そんな正史を受け入れるかのように、暖かく柔らかい春の風が吹き抜けていく。
〜完〜
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下記、名称をクリックすると詳細を展開します。
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| かみもと しんいち |
神本 真一
西暦１９６９年０６月１８日生まれ。身長／体重：１６７．２㎝／５８㎏
職業：「喫茶キルッズ」店員
勝ち気。故に、周辺でいつも諍いが絶えない。
全く考えなしに行動はしていないが、周囲にはそうは映っていない。損な性格。
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| もりさと たかひこ |
森里 隆彦
西暦１９６９年０６月１８日生まれ。身長／体重：１６５．８㎝／６０㎏
職業：「喫茶キルッズ」店長
穏和。友人達にはやさしすぎると言われることもある。それほど穏和である。かと言って、疑わないと言うことはない。只、人を疑いすぎないと言うだけである。
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| たかい ちづる |
高井 千鶴
西暦１９６９年０５月１０日生まれ。身長／体重：１５９．５㎝／４９㎏／スリーサイズ未定
職業：「喫茶キルッズ」店員
どんなことにも根に持つこともないさっぱりしている。
活発な女性。所謂おてんばである。
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| こぐれ まさし |
小暮 正史
西暦１９６９年０９月０６日生まれ。身長／体重：１６９㎝／５５㎏
職業：私立探偵。岩井探偵事務所探偵
小暮正彦家長男として生まれる。
本来は温厚であり、何者に対しても優しく接することが出来る。
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喫茶キルッズ
森里隆彦が新宿西口の外れに開店させた喫茶店。
従業員は、千鶴を始め、二〜三名。
メニューは少ないながらも、拘りを持って作っているため、それなりに繁盛している。
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| かいどうぐみ |
海道組
世田谷区の八幡山、環状八号線にほど近い場所にある。
建築屋として業種の転換をした。
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Copyright(C) 2008,2013 木眞井啓明