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朝、清々しく目覚めた俺は、ふと、窓に目をやった。
目を向けたその窓からは、いつになく美しい日差しが注がれていた。
ベットから飛び降りるように起き出し、窓へと向かい、窓を開けようと、いつものように押すが開かない。
何度か押すが開かない。
そこで、押すのは間違いで、引くのだと思い直し、引いてみるが開かない。
その間も、日差しは優しく、きらきら輝くような陽光を窓の曇りガラスに当てている。
開かない窓を、しばらく眺める。
ここしばらく、そんな日差しにお目にかかっていなかった俺は、是が非でも直接日差しを受けたくなった。
一時間ほど格闘したが、押しても引いても一向に窓は開いてくれない。
途方に暮れた俺は、ベッドに腰掛けて、窓に指す、輝く日差しを見ていた。
その日差しが俺を招くかのようにきらきらと揺らめく。
また立ち上がり、動物園の熊のように、部屋をぐるぐると歩き回りながら思案を巡らせる。
ふと、椅子が目に入り足が止まるが、他の方法を考えるため、また、歩き出す。
しかし、押しても引いてもだめなのだ、他に方法などある訳がない。
俺は意を決して、傍にある椅子を持ち上げ、窓めがけて投げつける。
曇りガラスは、窓枠ごと見事に砕け散った。
その刹那、何かがどっと部屋になだれ込んできた。
俺は、日差しを見ることは……。
そう、消えゆく意識の中で俺は思い出したのだ。
数年前、地球上のほぼ全てが水没していることを……。
〜完〜
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ホームページを起こすに当たり、短編を書き上げるのをまとうかと思ったのだが、無理と判断し、ならば、いい機会と、ショートショートを書いてみようと思ったのがきっかけである。
まずは、落ちとかどうとかより、短く、さらっと内容が分かるようにしたのがこの作品である。
氏名を出さず、一人のみのキャストとして書き始めた。
落ちとしては、ありがちかと思うが、いかがなものであろうか?
もし、よろしければ、感想など頂けると嬉しいです。
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この作品は、「小説家になろう」に投稿されています。
内容は、同じものです。
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